既設の地下貯蔵タンクに対する流出防止対策について
近年、危険物施設において地下貯蔵タンクや地下埋設配管の腐食、劣化により危険物の流出事故が増加しています。
このような危険物流出事故を防止するため、既に危険物の規則に関する規則等の一部を改正する省令(平成22年総務省令第71号)及び危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示の一部を改正する件(平成22年総務省令第246号)がそれぞれ公布され、平成23年2月1日から施行されています。
この改正は製造所等の地盤面下に直接埋設された鋼製一重殻の地下貯蔵タンクで設置年数、塗覆装の種類、設計板厚が一定の要件を満たすものを「腐食のおそれが特に高い地下貯蔵タンク」、「腐食のおそれが高い地下貯蔵タンク」として区分し、その区分に応じて内面の腐食を防止するためのコーティング等の措置を講ずることなどを主な内容とするものです。
「腐食のおそれが特に高い地下貯蔵タンク」、「腐食のおそれが高い地下貯蔵タンク」を所有し、まだ流出防止対策を講じていない危険物施設は早急に措置を講ずる必要があります。また、この措置を講じない危険物施設は法令等に基づき、施設の使用停止や許可取り消しの対象となります。
設 置 年 数 地下貯蔵タンク設置時の完成検査済証交付年月日を起算日とした年数。
塗覆装の種類 地下貯蔵タンクの周囲を覆っているアスファルトやエポキシ樹脂、強化プラスチックなどのこと。
設 計 板 厚 地下貯蔵タンク設置時の板厚のこと。
これらについては許可証、完成検査済証、タンク検査済証で確認することができます。
腐食のおそれが特に高い地下貯蔵タンク
内面コーティングまたは電気防食のいずれかの措置を講じなければなりません。
腐食のおそれが高い地下貯蔵タンク
内面コーティング、電気防食または危険物の微小な漏れを検知することができる設備のいずれかの措置を講じなければなりません。危険物の微小な漏れを検知することができる設備とは、例えば高精度液面計のことをいいます。
その他
地下貯蔵タンクの設置年数の経過により、腐食のおそれが高い地下貯蔵タンクに該当することになる場合は内面コーティング、電気防食または危険物の微小な漏れを検知することができる設備のいずれかの措置を講じなければなりません。
腐食のおそれが特に高い地下貯蔵タンク
設置年数 | 塗覆装の種類 | 設計板厚 |
50年以上 | アスファルト | 全ての設計板厚 |
モルタル | 8.0mm未満 | |
エポキシ樹脂又はタールエポキシ樹脂 | 6.0mm未満 | |
強化プラスチック | 4.5mm未満 | |
40年以上50年未満 | アスファルト | 4.5mm未満 |
内面コーティングまたは電気防食のいずれかの措置を講じなければなりません。 |
腐食のおそれが高い地下貯蔵タンク
設置年数 | 塗覆装の種類 | 設計板厚 |
50年以上 | モルタル | 8.0mm未満 |
エポキシ樹脂又はタールエポキシ樹脂 | 6.0mm以上 | |
強化プラスチック | 4.5mm以上12.0mm未満 | |
40年以上50年未満 | アスファルト | 4.5mm以上 |
モルタル | 6.0mm未満 | |
エポキシ樹脂又はタールエポキシ樹脂 | 4.5mm未満 | |
強化プラスチック | 4.5mm未満 | |
30年以上40年未満 | アスファルト | 6.0mm未満 |
モルタル | 4.5mm未満 | |
20年以上30年未満 | アスファルト | 4.5mm未満 |
内面コーティング、電気防食または危険物の微小な漏れを検知することができる設備のいずれかの措置を講じなければなりません。危険物の微小な漏れを検知することができる設備とは、例えば高精度液面計のことをいいます。 |
2020年10月7日 更新 | 消防本部からのお知らせ一覧へ